土のpHって何?家庭菜園で失敗しない測り方と調整方法|初心者向け
目次
1. はじめに|pHを知ると「育たない原因」が見えてきます

家庭菜園でよくある悩みとして、
- 苗が大きくならない
- 葉が黄色くなる
- 実がつきにくい
- 肥料を入れても効果が薄い
といった「原因がよく分からない不調」があります。
このとき、意外と見落とされがちなのが 土のpH(ピーエイチ) です。
pHは簡単に言うと、土が酸っぱい(酸性)寄りなのか、アルカリ性寄りなのかを示す数値で、野菜が栄養を吸いやすいかどうかに関わります。
つまり、同じ肥料を入れていても、土のpHが合っていないと「栄養があるのに、野菜が吸えない」 という状態が起きやすいのです。
これが、初心者の方が「ちゃんとやっているのに育たない」と感じる原因のひとつになります。
この記事では、難しい専門用語はなるべく使わずに、
- pHの基本
- 家庭でできる測り方
- 酸性・アルカリ性の直し方
- 石灰の入れ方で失敗しないコツ
を、今日から使える形でまとめます。
2. 土のpHとは?酸性・中性・アルカリ性を超かんたんに理解

土のpH(ピーエイチ)は、ひとことで言うと 「土の性質を数字で表したもの」です。
その数字で、土が
- 酸性(すっぱい寄り)
- 中性(ちょうどよい)
- アルカリ性(苦い・石けんっぽい寄り)
のどれに近いかが分かります。
pHの数字の見方(ここだけ覚えればOKです)
- pH 7 が中性
- pH 7より小さい → 酸性
- pH 7より大きい → アルカリ性
例えば、
- pH 6.0 =「少し酸性」
- pH 7.5 =「少しアルカリ性」
というイメージです。
家庭菜園では「だいたい弱酸性〜中性」が基本
多くの野菜は、極端な酸性やアルカリ性よりも、弱酸性〜中性の範囲で育ちやすい傾向があります。
なぜなら、その範囲だと野菜が必要とする栄養が土に溶けやすく、根から吸いやすいからです。
土のpHは“勝手に変わる”ことがあります
pHは一度整えたら終わり、ではありません。例えば…
- 雨が多い時期が続く
- 肥料を何度も追加する
- 石灰を入れた
- 同じ場所で同じ野菜を作り続けた
こういったことで、少しずつ土のpHは動きます。
だからこそ、土づくりがうまい人ほど、pHを「たまに測って確認する」習慣を持っています。
3. なぜpHが大事?野菜が元気に育つ“理由”

土のpHが大事な理由はシンプルで、野菜が栄養を吸えるかどうかが変わるからです。
家庭菜園で「肥料を入れたのに効かない」「元気がない」というとき、実は肥料不足ではなく、pHのズレで栄養がうまく使えていないことがあります。
理由① 栄養は“土に溶けて”はじめて根が吸えます
野菜は、肥料をそのまま食べるわけではありません。
肥料の成分(窒素・リン酸・カリなど)は、土の中で形が変わり、水に溶けた状態になってはじめて根から吸収されます。
この「溶けやすさ」「吸収されやすさ」に強く関係するのが pH です。
理由② pHがズレると「ある栄養だけ吸えない」が起きます
pHが合っていないと、特定の栄養が
- 土に溶けにくくなる
- 逆に溶けすぎてバランスが崩れる
- 根が吸いにくい形になる
といったことが起きやすくなります。
すると、土の中に栄養があっても、野菜側から見ると「ごはんが目の前にあるのに食べられない」みたいな状態になります。
理由③ pHのズレは「不調サイン」として葉に出やすい
pHの影響は、見た目にも出やすいです。例えば…
- 葉が黄色い(元気がない)
- 成長が止まる(大きくならない)
- 実がつきにくい
- 肥料焼けっぽい症状が出るのに原因が分からない
もちろん原因はpHだけではありませんが、pHを確認することで「原因探しの近道」になります。
理由④ 野菜によって“好みのpH”が少し違います
多くの野菜は弱酸性〜中性が育てやすいですが、野菜によって好みが少し違います。
だから、同じ畑でも「育つ野菜」と「育ちにくい野菜」が分かれることがあります。
4. 家庭でできるpHの測り方(試験紙・測定器・注意点)

土のpHは、難しそうに見えて 家庭で十分チェックできます。
ここでは「初心者でも失敗しにくい順」に、測り方を3つ紹介します。
まずは 試験紙タイプがいちばん手軽でおすすめです。
方法① いちばん簡単:pH試験紙(比色タイプ)
特徴
- 安い/手軽/初心者向け
- 色で判定するので、だいたいの範囲を掴みやすい
やり方(失敗しない手順)
- コップに土を少量(スプーン1〜2杯)入れる
- 水を入れてよく混ぜる(できればきれいな水)
- 少し置いて、上澄み(うわずみ)を作る
- 試験紙を浸して、色を見本と比べる
ポイント
- 土の粒が多いと判定しにくいので、上澄みを使うと安定します
- 数字は“ピッタリ”より、酸性寄りか中性寄りかが分かればOKです
方法② 便利:土壌pH測定器(差し込むタイプ)
特徴
- 土に差すだけで数値が出るタイプが多い
- 繰り返し使える
- ただし、機種によって精度に差が出やすい
使い方のコツ
- 乾きすぎの土だと測りづらいので、少し湿った状態で測る
- 1か所だけでなく、2〜3か所測って平均を見る
- 測定部は汚れを拭いて保つ(汚れは誤差の原因)
方法③ より確実:ホームセンター等の土壌診断サービス/検査
「ちゃんと数値で把握したい」「広い畑で精度を上げたい」場合は、土壌診断(簡易検査)を利用すると確実です。
家庭菜園では必須ではありませんが、毎年同じ場所で不調が続くなら検討する価値があります。
測定でよくある失敗(ここだけ注意)
失敗① 1か所だけ測って決める
畑やプランターでも、場所によってpHが変わります。
必ず2〜3か所測るのがおすすめです。
失敗② 肥料や石灰を入れた直後に測る
直後は数値がぶれます。
pH調整をした場合は、少し時間を置いてから測ると判断しやすいです。
失敗③ 土を混ぜずに測る
表面だけ・底だけだと偏るので、採取する土は軽く混ぜてからが安定します。
5. 酸性が強いときの整え方(石灰の種類と使い分け)

土が酸性寄りだと、野菜が栄養を吸いにくくなったり、生育が鈍くなったりしやすいので、家庭菜園では「酸性をやわらげる=pHを上げる」調整をすることがあります。
その代表が 石灰(せっかい) です。
ただし石灰は、入れ方を間違えると 逆に育たない原因になるので、初心者の方は「種類の違い」と「やりすぎないルール」だけ押さえてください。
初心者は「苦土石灰」が扱いやすい
石灰にはいくつか種類がありますが、家庭菜園でよく使うのはこの3つです。
① 苦土石灰(くどせっかい)
- 初心者向けで失敗しにくい
- 酸性をやわらげつつ、マグネシウム(苦土)も補えます
- 効き方は比較的おだやか
➡️ 「どれを買えばいいか分からない」なら、まずこれが無難です。
② 消石灰(しょうせっかい)
- pHを上げる力が強く、効きが早い
- そのぶん 入れすぎやすく、失敗しやすい
- 肌に触れると刺激になることがあるため取り扱い注意
➡️ “強い薬”のイメージで、初心者は慎重に。
③ 有機石灰(貝殻石灰など)
- 効き方が比較的ゆっくり
- 土を急に変えにくいので、調整がゆるやか
- ただし商品によって特徴が違うので、表示を確認するのが大切です
➡️ 「ゆるやかに整えたい」人向けです。
失敗しない石灰の入れ方(初心者向けルール)
ルール① いきなり大量に入れない(少なめ→再測定)
pH調整は、一発で狙わないのがコツです。
まず少なめに入れて、しばらくしてから再チェックする方が安全です。
ルール② 石灰と肥料は同じタイミングで混ぜない
石灰と肥料(特に窒素系)が近いと、成分が変化して効きが落ちたり、トラブルの原因になったりします。
初心者の方は、基本として
石灰 → 時間を置く → 肥料
の順番を意識すると失敗しにくいです。
ルール③ 土に“よく混ぜる”+表面だけで終わらせない
表面だけ石灰が効いて、根が伸びる層がそのままだと、育ちが安定しません。
石灰を入れたら、土全体にムラなく混ぜることが大切です。
ルール④ 「石灰入り培養土」は追加がいらないことが多い
市販の培養土には、最初からpH調整済みのものが多いです。
この場合、追い石灰をすると アルカリ性に寄りすぎる原因になるので、まずは袋の表示を確認してください。
6. アルカリ性に寄りすぎたときの戻し方(やりすぎ対策)

石灰でpHを上げすぎると、今度は土がアルカリ性に寄ってしまい、野菜が育ちにくくなることがあります。
初心者の方がよくやりがちなのが、「不安だから石灰を多めに入れる」→結果、やりすぎのパターンです。
ここでは、アルカリ性に寄りすぎたときの“戻し方”を、家庭菜園で現実的な順にまとめます。
まず大前提:アルカリ性は「時間」でゆるやかに戻ることが多い
酸性の調整は石灰で比較的やりやすいですが、アルカリ性を一気に戻すのは難しいです。
そのため、基本は 焦らず、ゆるやかに戻すが安全です。
戻し方① まずは「追い石灰」を完全にやめる
当たり前に見えますが、いちばん効きます。
アルカリ性に寄ったと感じたら、当面は
- 石灰を追加しない
- pH調整済み培養土なら、追加しない
を徹底してください。
戻し方② 水やり・雨で徐々に落ち着かせる(屋外は特に)
土は、水が通ることで成分のバランスがゆっくり変わります。
屋外の畑は雨が入るため、時間とともにpHがゆるやかに動くことがあります。
※ただし、やりすぎの修正には時間がかかるので、次の作付け計画も合わせて考えるのが現実的です。
戻し方③ 有機物(堆肥・腐葉土)で“中和寄り”に整える
アルカリ性が気になるときは、土をいじりすぎず、有機物で土を育て直すのが失敗しにくい方法です。
- 完熟堆肥
- 腐葉土
- もみ殻堆肥 など
これらは土の環境を整える方向に働きやすく、急激な変化を起こしにくいのがメリットです。
※未熟な堆肥は逆にトラブルの原因になるので、必ず「完熟」を選んでください。
戻し方④ 「酸性寄りの資材」を使うのは慎重に
硫黄資材などで酸性方向に調整する方法もありますが、家庭菜園では扱いが難しく、失敗のリスクが上がります。
初心者の方は、まずは有機物+時間+作付けの工夫で戻すのが安全です。
戻し方⑤ どうしても急ぐなら「土を入れ替える」(プランターは特に)
プランター栽培は、畑と違って土量が限られるため、修正が間に合わないことがあります。
その場合は
- 上の土を一部入れ替える
- 新しい培養土を足して薄める(混ぜる)
が現実的です。
作付けの工夫:アルカリ性でも比較的育ちやすい野菜を選ぶ
「今すぐ元に戻らない」なら、無理に戻すより、土に合わせて野菜を選ぶ方がうまくいきます。
(具体例は環境や土の数値で変わるため、pHの測定結果を見ながら選ぶのがおすすめです。)
7. まとめ|pHを味方にして家庭菜園の失敗を減らしましょう

土のpHは、家庭菜園の「見えにくい失敗原因」を見つけるための重要なヒントです。
肥料や水やりを頑張っているのに育たないとき、実は pHが合っていないことで栄養を吸えない状態になっていることがあります。
最後に、この記事の要点を 今日から使える形でまとめます。
✅ この記事の結論(ここだけ押さえればOKです)
- pH 7が中性、7より小さいと酸性、7より大きいとアルカリ性
- 多くの野菜は、極端な酸性・アルカリ性より 弱酸性〜中性で育ちやすい
- pHがズレると、栄養があっても吸えないことが起きやすい
- 測り方はまず 試験紙(比色) が手軽でおすすめ
- 酸性が強いときは石灰で調整するが、初心者は 苦土石灰 が扱いやすい
- 石灰は やりすぎが一番危険(アルカリ性に寄ると戻すのが大変)
- アルカリ性に寄りすぎたら、焦らず 追い石灰をやめる+有機物+時間 が安全
✅ 失敗しない運用ルール(超実用)
1)まず測る → 少なめに調整 → もう一度測る
これが最も失敗しにくい手順です。pH調整は“一発勝負”にしない方がうまくいきます。
2)1か所だけで決めない
畑でもプランターでも、場所でpHが変わることがあります。2〜3か所測って平均で考えるのがおすすめです。
3)石灰と肥料を同時に混ぜない
初心者の方は特に、石灰 → 時間を置く → 肥料の順で考えると失敗が減ります。
✅ 次にやること(最短アクション)
- 土を少し採取して、pHを測って数値をメモする
- その数値を見て、必要なら 苦土石灰を少なめに(もしくは有機物で整える)
- 1〜2週間後にもう一度測って、方向性を確認する

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