フープ王国王宮内

リョウヘイ『ヒカル兄さんは勢いで旅に出てしまったけど、大丈夫なんだろうか…』

レイ『そうですね。あの日ヒカル王子は、王国の地下にある図書館で古の文献を目にしました。』

リョウヘイ『確かにあの本には、どんな病も治す幻の食材クジョウネギの秘密が書かれていた。クジョウネギは非常に栄養価が高く、緑の葉の部分にはカロテンやビタミンBを多く含むと。』

レイ『そうです。研究発表でもありましたが、特にクジョウネギの特徴である独特の香りや辛みには硫化アリルという成分が含まれており、かぜの予防や疲労回復、抗酸化作用など嬉しい効果が期待できます。』

チョビ『昔婆ちゃんから風邪をひいたらネギを首に巻けなんて言われたけど、あながち間違いでもなかったのかもしれねぇな!』

リョウヘイ『でもその文献にはネギの宝石という一文がありましたが、そこはどうしても解読出来ませんでしたね…』

レイ『そうです。そこにきっとどんな病も治すヒントが隠されていると。ヒカル王子はそう直感し旅に出たのでしょう。』

王国では、突然のヒカル王子放浪の旅が最大のニュースになった。国民に対しては、ヒカル王子は王位継承の為の見聞を広める旅に出たという説明はあったものの、王宮内ではヒカル王子の勝手な行動に不信感を抱く者もいる。

レイ『リョウヘイ様、フープ王国は突然第一王子という指導者を失い、今後統率が取れなくなっていく可能性がございます。リョウヘイ様が今は王国を収め導いていく立場とならなければなりません。』

リョウヘイ『僕に出来るのか、、でもヒカル兄さんが留守の間、僕だって役に立たなければいけないんだ!やってやるんだ!ヒカル兄さんだっていつ帰ってくるか分からないし、僕が次の国王を務める気持ちで頑張るんだ!』

リョウヘイは肩をいからせ息巻いている。

レイ『そうです。私も付いておりますゆえ、王国を正しい方向に導いて参りましょう。』

チョビ『リョウヘイ坊っちゃま!なんと喜ばしいこと!私も全身全霊を込めて支えますのでこの国を繁栄させましょう!』

ヒカル王子が居なくなった王国ではあったが、リョウヘイ王子という新たな希望が王国を照らしていく。予想だにしていなかったリョウヘイ王子の台頭はわずか一年で、更に国力を高め大きな繁栄へと発展していった。

その繁栄の機転となったのが、『キムチ革命』と呼ばれる事件である。

第六話完